11月3日、ジョン君とウッズ君は…
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早朝、二人はS岳Y沢に向かって緊張しながら歩いていた。途中、発破工事の爆発音によって、この先自分達の身に降りかかるであろう困難が頭をよぎり体が硬直し始める…
入渓。11月の沢は静寂で満ちている。
緑少なく、そこらじゅう落ち葉で埋め尽くされ滑る滑る。倒木には氷が張っておりつるんつるん。ウッズは軍手なので途中で手の感覚が無くなって来たらしく、ヘツリでも自分の体を支えられず水にボチャンポチャンと浸かっている。足は数秒浸かっているとしびれてくる。そんなスリリングな状況を楽しみながら歩いてゆくと、あっという間にゴールに着いた。
二人は充実感に浸っているとバイク音。まるで暴走族の集会でもあるかのように、林道をオフロードバイクが何台も通り過ぎて行く。一気に気分を害される。しかし、なんか不思議な感覚だ。俺らはバイクレースを観戦するためにわざわざ登ってきたのか…ま、いっか、最後の沢を堪能できたのだから。
二人は充実感を胸にヒッチの車に揺られ帰っていった。